20082

古紙の定義について

 

 

丸石製紙株式会社

 

 混迷している古紙の定義について、日本工業規格(JIS)紙・板紙及びパルプ用語(JIS P 0001 番号2058)には、「使用済み又は加工工程から回収した紙又は板紙。再パルプ化して紙又は板紙を製造するときに再利用する。」と定義されています。各方面に問い合わせを行った結果を纏めると、「規定はその規定の目的に合わせて作り、製造者は原料の質に合わせて定義している。」という内容になります。あるところは市中回収古紙の回収率を上げることを目的とし、別のところは紙繊維の性質から定義しています。これらを混同して使用しているのが、今回の混乱を招いている主因といえます。

 

           古紙の定義 概略図

テキスト ボックス: 古紙定義の概略
 

 

 

 

 

 

 

 


      ※Rマーク は 定義なし

 

大きく分類すると「統計及び資源再利用促進目的の古紙」「商品品質表示上の古紙」とに分けられます。先の古紙としての取扱は工場単位での市中回収古紙の利用促進を主眼において、その統計数値を把握するため、製紙会社内で発生する損紙はカウントしないようになっている。これは個々の品質如何にかかわらず、製紙会社グループ単位でのグループ外からの利用促進を目的に定義されたもの。それが資源有効利用促進法であり、本文には古紙の定義はないが、解説での定義として、商品として出荷後、回収されたものの趣旨になっています。これは目的からすれば至極当然で、市場に出ない場内発生損紙をカウントすると、出荷数量を上回り、回収率が100%を超える可能性も発生するからです。

もう一つの商品品質上の古紙として取り扱っているものは、一つの商品を作り上げていく事に注視し、この生産ラインからの出入りを基準に判定しています。その例として一般に言われているエコマーク基準の定義があります。エコマーク自体も回収古紙の利用促進を主眼に置いていますが、個々の商品品質や原料の生い立ちにも考慮した取り扱いになっています。製紙工程の戻り分を除外し、「紙」になったものから再生する場合は「原則古紙」となっています。ここで「原則」というのは、「再生したから古紙」とは限定しておらず、個別事例に合わせて判別しており、再生しても「バージンパルプ」のまま取り扱うことも確認しています。またエコマークの解説文によると定義に差があることも明記されていますし、購入した古紙の状態がパルプ類似品なればパルプ扱いしている事例もありました。

つまり、統計としての古紙以外は全て曖昧で、各事務局は明確な線引きはしておらず、各社の良識に任せた判断となっています。

 

以上を踏まえ、弊社での古紙の定義については、「統計上の古紙」「商品品質表示上の古紙」の2つに分けて定義します。その理由として「古紙60%」と表示した場合、ほとんどの消費者は「パルプ40%」と解釈するでしょう。しかしながら、残りの40%は加工工程で発生した古紙である可能性も十分あります。企業として「商品」を販売する以上、古紙として再生したにも関わらず「古紙ではない」と偽証する事や、商品の表示として、古紙部分を「パルプ」と誤解を招く表示をすべきでないと判断し、また紙としての品質を保証するためにも2つの定義をあえて併記します。

一つめの統計として取り扱う古紙は、資源有効利用促進法の解説に則った内容。つまり、社外から原料目的で購入した古紙及び古紙パルプとして入ってきたものに限定。もう一つはエコマーク基準をもとにした内容で、1つの商品を作る際に、その商品毎の製紙工程に新たに投入する原料での定義です。

 

 


 

丸石製紙としての定義

 

  統計として取り扱う古紙

   ・「購入古紙パルプ」

・「市中回収古紙」等、弊社以外から、原料目的で購入したもの。

 

  商品品質表示上として扱う古紙

   ・「購入古紙パルプ」

・「市中回収古紙」等、弊社以外から、購入したもの。

   ・加工工程から発生する損紙

   ・抄紙工程で発生しても、他の古紙と同様の古紙処理を行い、明らかにパルプよりも古紙として認識されるべきもの。

 

 

個別商品の古紙配合率の計算方法

 古紙配合率はエコマークにもあるように、ISO に準拠した「古紙パルプ/(バージンパルプ+古紙パルプ)」で表される「古紙パルプ配合率」を採用します。

抄紙工程で発生する損紙類については、同一工程に原料として、溶解のみして戻す場合は計算外とします。

 

 

              古紙パルプ

  古紙配合率 = ------------------------------  × 100%

 (古紙パルプ + バージンパルプ) 

 

 

  古紙パルプ = 購入古紙パルプ + 社内で古紙処理後の古紙パルプ

 

  古紙パルプは風乾重量、バージンパルプは含水率10%の重量として計算